
夫が親権を取る場合を考えてみましょう。
子供が小さい場合(乳幼児期や小学校の低学年位まで)、夫婦双方が親権を望んでいる中で、夫が親権を取るのは難しいのが実情です。
育児放棄や虐待など、妻に明らかな問題がある場合を除いて、裁判所の判断は妻の方に向く事が多いのです。
なぜなら、夫は日中、仕事で家を空けなければならず、育児と家事をサポートしてくれる人がいないと子供を監護することは現実的に難しいことであるため。
妻の方が、そのまま育児を続けやすいというのは、親権が母親に決まる大きな要因です。
残念ながら、単に妻より経済的に余裕があるだけでは、父親が親権を取るのは難しいのです。
子供が生まれてから離婚に至るまで、父親が子供の育児にどれだけ関心を持ち、実際に妻の育児に協力して来たかも判断されますね。
では、父親が親権を取り、育てて行くのはそもそも不可能なことなのでしょうか。
いえ、全く望みがない訳ではありません。
子供が小学校高学年以上、中学生や高校生で、子供自身が父親と暮らすことを希望していれば、父親の親権が決まる可能性が高いです。
それには、離婚するまでの父子関係が余程良好(父子間のコミュニケーションが日常的に取れるなど)でなければなりませんが。
実際に、夫婦が別居した時に母親のもとで監護されていた子供が、成長するに従って父親との生活を望むようになり、父親が親権を取る事があるのです。
更に、夫も妻もフルタイムで働いている事が珍しい事でなくなって来ている現在では、監護する条件を整えるために自分のキャリアを一時諦めてでも、あるいは仕事を替えてでも、子供のために時間を割ける方が親権を取るのに有利になり、夫婦共にイーブンで親権を争えるでしょう。
現在、全国には母子家庭120万所帯に対して、父子家庭は20万所帯(平成18年現在)あるとされます。
全部が離婚家庭ではありませんが、親権が父親にある家庭です。
実例としては、昼間は子供を保育機関に預けて、自分自身の労働時間や労働条件を変えて子育てをする男性もいますし、夫の実家の母親などのサポートがあって、子育てを行なっている父子家庭もあります。
子供が小学校の高学年以上になれば、父子で協力し合って家事を分担することも出来るでしょう。
更に、以前は父子家庭への社会助成制度はありませんでしたが、平成22年8月より、所得によって金額の差はありますが父子家庭にも児童扶養手当が支給されるようになりました。
このように今後は、少しづつ親権に関する社会の受け止め方も変化するでしょう。
但し、父親が親権を取るなら、時には自分の仕事を差し置いてでも子供に関わる生活を優先順位の最初に持って来るだけの覚悟をすること、また、進路相談など学校との連絡を密に取ることや、思春期の子供の様子を見て相談に乗るなど、子供が自立出来るまでしっかりサポート出来るかを見極めて下さい。
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